高齢者の腰痛に多い2つの原因と具体的な対策を徹底解説

高齢者は意外と腰痛持ちが少ない?

高齢者の腰痛の原因と対策

日本人の約90%が腰痛を経験すると言われているように高齢者の方で腰痛に悩まされる方も多くいらっしゃいます

 

 

しかし、その一方で腰痛の原因や痛みの質が若い方とは異なる場合があり、症状の裏に危険な兆候が潜んでいることもあるため、その対応には十分に注意する必要があります
ここでは、高齢者が腰痛になる原因と具体的な腰痛対策を紹介します

 

意外に低い高齢者が腰痛になる割合

腰痛は年を取るほどに増えるというイメージをお持ちの方もいらっしゃいますが、実際にはそうではありません

 

 

腰痛患者は20代~40代の働き盛りの方がピークで、50代に入ると徐々にその数は減り始めます
実際のデータを見てみても腰痛患者が最も少ない年代は10代ですが、その次は70代以上、その次は60代と意外に高齢者の方が若い世代や中年層よりも少ないことがわかります

 

以前は腰痛の原因は背骨や椎間板の老化と考えられていましたが、こういったデータからは一概にこれらのことが言えないことが分かります

 

ただし、その反面高齢者の腰痛の原因には若い世代にはみられない危険な兆候が潜んでいることがあります
このため、何が原因で腰痛が起こっているかをしっかりと見極め、適切な対応を行わなければいけません


高齢者の腰痛に潜む原因とは?

高齢者の腰痛の原因と対策

 

高齢者の腰痛に潜む怖い疾患の1つに脊椎の圧迫骨折があります
脊椎とは背骨のことを指し、腰は5つの腰椎という骨が積み重なることで構成されていますが、一般的に高齢になればなるほど骨が脆くなりやすく刺激が加わることで腰痛が潰れてしまい、圧迫骨折を招くことがあります

 

 

圧迫骨折の症状の内、最大の特徴は強い痛みです
身動きができないほどの激痛と言われる方も多く、自宅で動けなくなり救急車で搬送される方もいらっしゃる程です

 

 

また、腰椎の前方には神経がありますが、圧迫骨折により骨が前方に飛び出すと、神経を圧迫してしまうことがあります
神経が圧迫された場合は足の麻痺や強い痺れなどを伴う場合もあり、早急に医師の診察を受け、処置を受ける必要が出てくる場合もあります

圧迫骨折になったときの対処法

圧迫骨折の場合はまず、病院で診察を受けることが最優先です
特に50歳以上の方の腰痛の場合はレッドフラッグといい、危険な兆候が潜んでいる可能性が高いと言われています

 

 

このため、少し大げさかもしれませんが、50歳以上で腰痛を発症した場合は痛みの程度に関わらず、何が原因で痛みが出ているかをしっかり特定するために一度病院を受診することが推奨されています
圧迫骨折の場合、大半の方は2~3ヶ月程度で痛みは治まり、ある程度元に近い生活を取り戻すことができます
しかし、その一方で神経の圧迫による危険な症状がみられるにも関わらず放置してしまうと、症状が悪化し最悪の場合、後遺症を残すリスクもあります

 

 

また、高齢になればなるほど若年層に比べて筋肉が衰えたり、関節が固まるスピードは速まります
長期間の安静に伴い、足の力が衰え以前のように歩けなくなった、バランス能力が低下しふらつくことが増えた、お風呂やトイレなど身の回りの事が1人でできなくなったという場合はリハビリが必要となります

 

 

圧迫骨折は骨折の程度や年齢、元々の身体能力などにより、予後が変化することがあるのでまずは自宅で安静にしているだけで良いレベルなのかを医師に判断してもらい、必要な処置を受けることが大切です
そして、その上で無理のない範囲で生活を再開していき、二次的な障害(筋萎縮や関節可動域制限)を予防することが非常に重要です


危険な兆候がみられない場合の原因とは?

 

ただし、腰痛があり病院に行ってみたものの検査上なんとも無かったという場合もあります
この場合は圧迫骨折などのようにはっきりと原因の分かる特異的腰痛ではなく、原因がよく分からない非特異的腰痛の可能性があります

 

 

高齢者の場合、特に注意が必要なのがうつ状態と腰痛の関係です
うつ状態は70歳以上の腰痛患者の身体機能低下の危険因子となり、日常生活を送る上で制限となる可能性があると腰痛診療ガイドラインにも記載されています

 

 

高齢者でうつになる割合は全体の13.5%と言われており、決して珍しい症状ではありません

 

 

その理由は若年層の方とはまた違った様々なストレスにさらされるためです
配偶者や親しい友人との死別、自身や家族の健康状態・認知機能の変化、経済的な状況の変化、慣れ親しんだ住環境の変化(引っ越しや施設入所など)などがきっかけとなりうつ状態に発展してしまうことがあります

 

 

そして、うつ状態に発展することで腰痛や頭痛・耳鳴り、胃腸の不調など様々な身体的な訴えにつながることがあります

非特異的腰痛がみられた際の対策

非特異的腰痛がみられた場合はまず何が原因で痛みが起こっているのかをはっきりとさせます
ストレスになっているであろう原因を特定し、そのストレスを本人に認識させる、もしくは周囲の人間がそのストレスを与えないように環境を改善します

 

 

また、本人の気持ちを切り替えるためにも可能な範囲で運動を行います
高齢者の方の場合は筋萎縮などが起こる速度が早いため、痛みがあるからと過度に安静にすることは二次的な筋力低下などを招き、本来は精神的な問題だったはずが身体機能の低下を招き歩けなくなるというケースはよくあります

 

 

このため、本人が可能な範囲で徐々に離床を促し、まずはトイレや着替え、3食は座って食べるなどの日常生活をしっかりと行ってもらいます

 

 

そして、可能であれば腰を丸めたり、反らすエクササイズを行っていきます
これは腰を適切に動かすことは「痛み無く動かせる」と脳が認識でき、徐々に腰痛の改善がみられるためです

 

 

初めから急に行うと痛みが悪化してしまうリスクもありますが、過度な安静を防ぎ、可能な範囲で動かすことで高齢者の腰痛の慢性化・重症化を防ぐ上で非常に重要です